讃岐うどんの提供スタイルといえば「セルフスタイル」が主流です。
空のどんぶりに茹でたてのうどんを入れ、蛇口をひねって出汁をそそぐ。
それだけで「本場の讃岐うどん」という気分になれます。
なぜ讃岐うどんはセルフスタイルが主流なのでしょうか?
セルフスタイルのルーツとともにその謎に迫ってみましょう。
讃岐うどんの基本的なセルフスタイルとは?
作法というまで堅苦しいものではありませんが、讃岐うどんの基本的なセルフスタイルは以下のような流れとなっています。
- うどんの玉数をオーダーし、うどんの玉が入ったどんぶりをうけとる
- サイドメニューのおでん、おにぎり、天ぷらを選ぶ
- 清算を済ませる
- 麺を温める
- 出汁をかける
この流れはあくまでも「基本的な流れ」であり、もちろん店舗によって独自のルールや手順が存在しますが、ガイドブックなどで観光客に紹介されているはこのパターンが多いようです。
讃岐うどんのセルフスタイル そのルーツを探る
讃岐初の「うどん専門店」は「手打ち」ではなく「製麺機」だった
「讃岐うどん専門店」としてセルフスタイルの店舗を展開したのは1969年(昭和44年)にオープンした「四国うどん」という店舗です。
それ以前から「讃岐のうどん」は全国的に有名でしたが、店舗内で打ち立ての麺を提供する店舗は四国うどんが最初でした。
まず、手打ちが主流の讃岐という土地柄で、四国うどんは製麺機を導入しそれをオープンキッチンスタイルで客に見えるようにしました。
そして、客が出来立てのうどんを受け取り、自分の手で温め、出汁を入れて薬味をかけて食べ、そのまま食器を片付けるという、流れるようなセルフスタイルを最初から導入し、讃岐の人もすんなりそれを受けたことにより、現在のようなセルフスタイルの専門店の先駆けとなったのです。
なぜセルフスタイルが定着したのか?
今でこそ、バイキングや朝食ビュッフェ、カフェテリア形式などのセルフスタイルが当たり前に浸透していますが、店舗営業が主流だったご時世になぜ四国うどんのようなセルフスタイルが受け入れられたのでしょう?
実は讃岐の人たちは四国うどんが店舗展開する以前から「セルフスタイル」でうどんを食べていたのです。
手打ちの製麺所が多い讃岐では、うどんが出来上がる時間になると、近所の人が直にうどんを買いに集まって来ました。
どの製麺所でもその場で出来立てのうどんが食べられるように、出汁が用意されていたので、集まった人は好みの量のうどんに自由に出汁をかけ好きなだけうどんを楽しんでいたのです。
このような背景から、讃岐うどんは、四国うどんのような店舗でのセルフスタイルもすんなり受け入れられ、時代とともに製麺所でも副食品が提供されるようになり、現在に至るという結論となります。
店舗ごとに違うセルフスタイルを楽しもう
同じセルフスタイルでも「店舗形態」と「製麺所形態」ではセルフの手順などが変わってきます。
店舗形態は副食品の種類は違いますが、流れは概ね同じです。昔ながらの製麺所が讃岐うどんを提供する場合、お客さんの作業が増える傾向にあります。事前にどんぶり、薬味、たれの種類まで用意して麺だけ受け取るケースや、全て食べた後自己申告で清算を済ます、など実に様々です。
メニューよりも手順の方を大きく掲示しているケースなどもあるので、讃岐で気になる店舗に行きたい場合は、お店のルールをリサーチするか、現地で前のお客さんの食べ方を学ぶなど、どんなセルフスタイルが来ようとも臨機応変に対応しながらうどんを楽しみましょう。